「静的サイトジェネレータ」という言葉だけで静的サイトを作った話

皆さんこんにちは。 私はつい最近静的サイトジェネレータという言葉を聞きました。 「静的」に興味を惹かれた私が、静的サイトジェネレータという言葉だけで静的サイトを作ってみた話をまとめます。 今回の記事は私の憶測が多いのでご注意ください(笑)
なお、当サイトはこの記事の通りに Laravel & wget & nginx による静的サイトとなっています。 もしご興味があれば、GitHubを見ていただけると幸いです。
静的サイトとは?
まず、静的サイトの意味から考える必要があります。 おそらくこれは静的なサイト、つまりリクエストに対して Web サーバのレスポンスコンテンツが変わらないということです。 ということは、HTML, CSS, 画像アセットなどの静的なファイルを提供するだけのサイトであれば広義の静的サイトに当てはまります。
静的サイトのメリット・デメリット
ただ html を提供するだけの静的サイトであれば、なんだかインターネット初期の '90 年代のように感じてしまいます。 そこで、静的サイトのメリットをまとめてみました。
- Web サーバが PHP などを実行することはないため、動的コンテンツによる脆弱性が存在しない。
- すでにレスポンスコンテンツが用意されているため、高速である。
- レンタルサーバなどでは PHP を実行できない場合も多く、静的サイトであればサーバに求める要件が低い。
次に、静的サイトのデメリットをまとめます。
- 端末(スマートフォン、PC など)によってサーバレスポンスを変化させることは難しい。
- REST API や検索機能などの提供は不可能。
静的サイトジェネレータとは?
静的サイトの意味が定まったところで、次は静的サイトジェネレータについて考えます。
これは静的サイトを作る、つまり静的サイトを作る元データがあり、それを加工して静的コンテンツを作るツールと考えられます。
ということは PHP で動的コンテンツを作り、それを php
コマンドで html 出力して Web サーバで公開すれば、
PHP は静的サイトジェネレータになるということです。
逆に、アクセスがあった時点で PHP を実行して html を出力するのであれば、PHP は動的サイトのエンジンやエグゼキュータと呼べるのでしょう。
クローラは静的サイトジェネレータ?
以上のことを踏まえると、どんな動的コンテンツでも、サーバからダウンロードしたときには静的コンテンツになっていることになります。 JavaScript による DOM 操作などは、サーバとしては静的であるとみなします。 よって、ローカルな開発環境で動的サイトのサーバを立ち上げ、それをクローラで html として取得すれば、 クローラは静的サイトジェネレータということになります。
Laravel & wget & nginx で静的サイトを作る
ということで、Laravel で動的サイトを作り、wget でクローリングして静的サイトを生成します。 具体的な作り方はあとあと新しい記事で紹介していきたいと思いますが、ここでは全体の概要を説明したいと思います。 なお、以下の例では GET クエリ(URL の ? 以降に続くクエリ)についても対応していますが、現在のところ動作確認していません。
Laravel
サイトデザインは PC とスマートフォンで切り替える必要があっても、CSS のメディアクエリ によってクライアント側で対応するようにします。 また、検索機能などの動的なコンテンツは扱えないことを踏まえながら、開発をしていく必要があります。
wget
wget
を使って、ローカルな Laravel サーバ localhost をクローリングします。
さらに、sitemap.xml やエラーページなどはリンクがないため、個別に curl
でクローリングしています。
さらに、クローリングした html ファイル内に含まれる「localhost」を、デプロイ先の Web サーバのドメインに置き換えます。
この処理をしないと、デプロイしたときにサイト内リンクが正しく機能しません。
また、nginx で GET クエリの対応をするために、ファイル名を置き換えています。
# クローリング wget -q --mirror --page-requisites --html-extension localhost curl -s localhost/sitemap.xml -o localhost/sitemap.xml curl -s localhost/404.html -o localhost/404.html curl -s localhost/50x.html -o localhost/50x.html mv localhost html # ドメイン置換 grep -lr 'https://b-hood.site&/#039; html/* | xargs sed -i -e "s#https://b-hood.site/#${domain}#g" # ファイル名置換 for path in `find html/ -name '*.html?*'` do rename="${path//index.html?/_}" rename="${rename//.html?/.html_}" mv "${path}" "${rename}" done
nginx
nginx で静的 html を提供しますが、URL に 〜.html がつかないように対応します。 まず、html ファイルは内部リダイレクトでのみアクセス可能とします。 そして、GET クエリがある場合は、レスポンドする html ファイルを名前解決して内部リダイレクトします。
server { listen 80; server_name apps.bluehood.net; root /usr/share/nginx/html; index index.html; # エラーページ error_page 403 404 /404.html; location = /404.html { internal; } error_page 500 502 503 504 /50x.html; location = /50x.html { internal; } # html は内部リダイレクトのみ location ~ \.html$ { internal; } location / { # html ルーティング if ($is_args = ?) { # GET パラメータ名前解決 rewrite ^(.*)$ ${uri}_${args}.html? break; } } }
本来の静的サイトジェネレータ
以上の内容は、あくまで私が静的サイトジェネレータという言葉だけで静的サイトを作ってみた話です。 本来の静的サイトジェネレータの 1 つとして、GatsbyJS というものがあります。 Gatsby では、React を使うことで静的サイトでありながらも動的なコンテンツをレンダリングするようです。
なお、当サイトはこの記事の通りに Laravel & wget & nginx による静的サイトとなっています。 もしご興味があれば、GitHubを見ていただけると幸いです。